ダイナミックレンジってなに??

ダイナミックレンジとは、デジカメの映像素子に入ってくる光(レンズを通す映像)の、
最も明るい部分から最も暗い部分までにおける、『映像素子が感応できる明暗差の幅』 のことです

●白飛び ・ 黒つぶれ ・ ダイナミックレンジ

屋外の太陽の下でも、室内の照明の下でも、普通は、必ずどこかに光の当っている部分と影の部分ができます。 そしてその明暗の差は、真夏の炎天下のような強い光の下では大きくなりますし、建物内とか一般的なご家庭の照明の下では小さくなります。

ですので、それを写真に撮ると、1枚の写真の中には明るい部分と暗い部分が同時に写ることになるのですが、その時、明るい部分が明るすぎると真っ白に写ってしまって、暗い部分が暗すぎると真っ黒に写ってしまう場合があります。
どちらの場合も階調がなくなって、その部分には ”何も写っていない” のと同じ状態になってしまうのですが、この、真っ白になってしまう部分を 『白飛び』、真っ黒になってしまう部分を 『黒つぶれ』 と言います。
この時、『白飛び寸前から黒つぶれ寸前までの、階調を失わずに同時に写し込める明暗差の幅』 のことをダイナミックレンジと言います。

ただご注意いただきたいのですが、例えば明るさにはルクスとかカンデラなど明るさを測定する単位がありますが、ダイナミックレンジというのは、この単位的な基準で 『○○ルクスから□□ルクスまで大丈夫』 という意味のものではありません。
シャッター速度を遅くすれば肉眼では見えないような暗い場所でも明るく写せますし、逆に絞り込んで高速シャッターを使えばクルマのヘッドライトのように目を開けていられないような照度でも表面の模様を撮ることもできます。
ですがその代わり、シャッター速度を遅くすると光の当っている部分はすぐに真っ白になってしまいますし、絞り込んで高速シャッターで撮るとちょっと暗いだけの部分でも真っ黒になってしまいます。

デジカメでは、その場の明るさや目的に応じていろんな設定で撮ることができるのですが、ダイナミックレンジとは、それらそれぞれの状態の中で同時に写すことのできる明暗差の幅のことです。

●ダイナミックレンジが広いとどうなるの?

基本的には、ダイナミックレンジが広い機種ほど、明暗差の少ない自然な印象の仕上がりになります。
この日は天気が良くて日差しも強く、陽の当っている部分と陰の部分の明暗差が激しかったので、普通に撮ると、このように明暗差の激しい写真になります。
この写真は決して白とびや黒つぶれになっているわけではないのですが、左右の木々の部分が不自然に暗く沈んだ感じになっています。
※クリックで拡大表示します
こちらは上の写真を元にkenkenが手作業でレタッチ修正したものです。 実際にその場に立って見ていた時は、これくらいの明暗差の印象だったような気がします。

基本的には、ダイナミックレンジが広い機種ほど、後から手作業で処理する必要なく、自然な印象に近い画像になると思います。(※注)

※注
厳密に言いますと、これはダイナミックレンジとはちょっと意味が異なるサンプル例です。 この写真も、暗部に階調が残っているからこそ後からでも修正が効いている状態ですので、決して黒つぶれを起こしているわけではありません。
ですが、ダイナミックレンジが広いデジカメほど、下の写真の印象に ”近い状態” で写せることは間違いないと思います。

●ではダイナミックレンジは広いほど良いの?

それでは、ダイナミックレンジは広いほど良いのか?といいますと、基本的には、デジカメのダイナミックレンジは広ければ広いほど良い、と、kenkenは思います。
上に書きましたとおり、ダイナミックレンジが広い機種ほど、明暗差の少ない自然な印象の仕上がりに近くなることは間違いない思います。

ただその一方で、状況によっては 『明暗差が少ない = コントラストの低い(メリハリ感のない)のっぺりとした感じ』に、なってしまう場合もあります。

ですので、ただ単にダイナミックレンジが ”広いというだけ” ではダメで、広いダイナミックレンジに蓄えたデータをどのように仕上げるか、という部分が大切になってきます。

●最終的な絵は映像エンジンで作り上げます

ここから先は、デジカメ内の映像エンジンによるソフト的な仕上げ処理のお話になるのですが、各メーカーとも2009年あたりのモデルから、これら明暗差を自動的に調整して、自然な印象に仕上げる機能を持ったデジカメが出てきました。
  • キヤノンの場合 : 『i コントラスト』 という名称で IXY や PowerShot に搭載。
     (一眼デジの場合は 『高輝度側階調優先モード』 という白飛びを抑える機能をEOS に搭載)
  • 富士の場合 : 『ダイナミックレンジ優先モード』 という名称で FinePix EXR シリーズに搭載。
  • ソニーの場合 : 『Dレンジオプティマイザー』 という名称で搭載。
デジカメ自身が、撮影者の意図や撮影時の状況を100%判断することは無理ですので、時には意図した印象に仕上がらない場合もあると思うのですが、でも各メーカーごとに工夫されて、それぞれに素晴らしい機能だと思います。



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