■デジカメ使いこなし&撮影テクニック教室 >> 作品作りに挑戦しよう! 達人の作品に学ぶ 



- ステージ写真 【ダンス・バレエ等】 の撮り方 -



作品作りのポイント♪

アイデア・独創性
ダンス撮影の場合、例えば舞台設定やダンサーの振り付けをカメラマンが担当することはまずありえませんので、基本的に ”撮影者としての独創性” は入り込む余地がありません。
出演者が親しい人の場合は、『舞台周りのこの位置から撮影しているので、舞台上のこの位置に来て、こういうポーズで目線が欲しい』 などあらかじめ打ち合わせをする事は可能だと思うのですが、それが出来るのもアドリブ主体のダンスの場合だけです。
バレエや新体操など演目の流れ(舞台上での立ち位置の移動)が決まっている場合などは、まず演目そのものの流れを把握した上で、撮りたいアングルが訪れる撮影位置を確保することが ”独創性” と言えるかも知れないですね。

●視点・構図感
視点や構図感はもちろん大切なのですが、これも上の 『アイデア・独創性』 と同じ理由で、基本的に撮影者の自由になる要素ではない場合の方が多いような気がします。
また、観客の多いイベントなどでは一度確保した撮影位置を簡単には変更できない場合も多々あり、イベントや会場によってはカメラマン用の撮影ブース(撮影位置)が決められている場合もあります。
撮影位置が自由に取れる場合でも、舞台背景や照明の入り方的な意味で撮影位置を決めるのが精一杯になると思います。
ですので、実際には構図感というよりフレーミングの工夫の方が大切になるかも知れないですね。

撮影知識・操作慣れ & 反射神経・運動神経
何を置いても、この2つ組み合わせが最重要となってくる撮影だと思います。
ある意味では、『独創性』 も 『構図感』 も、すべてこれら2つの下位要素として含まれてきます。

社交性
イベントそのものの性質とか音響効果などによっても変わってくるのですが、観客席側の通路から撮る場合など一般のお客さんが近くにいる状況での撮影では、シャッター音や撮影動作などが目障りになる場合もありますので、前もってヒトコト挨拶しておく等の配慮が必要になる場合がありそうです。
また、屋内舞台の公演は基本的に撮影禁止である場合が多いですので、オフィシャル担当以外でどうしても撮影したい場合は、主催者に対しての申し入れなどが必要になります。
主催者の考え方や公演の規模、出演者(プロ・アマ)、撮影データの使用目的、などによって様々だと思うのですが、公演が始まる前に受付の人に申し入れると、撮影を許可して頂ける場合あります。


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舞台撮影のポイント

舞台撮影とスポーツ撮影の違い
『動体撮影』 という点において、舞台撮影とスポーツ撮影はよく似ている部分があります。
どちらの場合も ”反射神経” が非常に重要になってくるのですが、その一方で ”操作慣れ” と ”撮影知識” 的な部分で、必要とされる要素がかなり変わってくる部分があります。
その元となる、舞台撮影とスポーツ撮影の違いは以下の部分です。

舞台撮影
スポーツ撮影
筋書き性 易 : 動作は基本的に安定している
演劇にしてもそうですが、ダンスの場合は基本的に演目の流れや立ち位置の移動などがあらかじめ決まっている場合が多いです。
バレエや新体操などでも、演目毎に 『このポイントでジャンプする』 という流れが決まっていますので、その流れを掴んでおきさえすれば、シャッターチャンスを捉えること自体はスポーツ撮影よりは易しい、と言えると思います。
難 : 動作に予測が付かない
よくスポーツは 『筋書きのないドラマ』 と言われますが、いつどんな場面が訪れるかは、撮影者はもちろん出場している選手自身にも分かりません。
ですので、その中でシャッターチャンスを捉えるための、必要とされる集中力と反射神経の重要度は、スポーツ撮影の方が遥かに大きいと思います。
舞台効果
照明演出
難 : 露出が千差万別に変化する
舞台イベントの場合は、演目によって照明が変わったり、また1つの演目内でも照度が頻繁に変わったりカラー照明が使われる場合もあります。
また、スポット照明が使用された場合には画面内での照度差が極端に大きくなる場合があり、さらに出演者を追う中で構図内に逆光照明が入ってくることも多々あります。
(照明演出によっては出演者自身が目を開けていられないような場合もあるようですので、そういう意味でも露出の変化は大きいです)
易 : 露出は基本的に安定している
スポーツの場合、全体的な照度自体はそれほど大きく変わりませんし、そもそも基本的にスポーツを行うに十分な照度が確保されている場合がほとんどです。
また、1つの競技を通じて照度が極端に変わってしまったり、選手を追う中で画面内に光源が入ってくることも基本的にはありません。
(スポーツの主旨的に、選手の目に極端な照度が入るような会場は基本的にありませんので、そういう意味でも露出自体は安定している場合が多いです)
Point!! 動きを止めるために必要な平均的 ・ 一般的なシャッター速度
・最低 1/125
・出来れば 1/250
・理想は 1/500 以上

照明の度合いによってスポーツ撮影以上に高ISOが必要となります。
背景 ・ 照明 ・ 出演者の衣装、の兼ね合いによっても露出を決めるのが非常に難しいです。
動きを止めるために必要な平均的 ・ 一般的なシャッター速度
・最低 1/400
・出来れば 1/800
・理想は 1/1600 以上

カメラの性能的にはかなりの高ISOが必要になるものの、基本的に露出自体は安定しているので、設定さえ済ませればあとはシャッターチャンスを捉えることだけに集中しやすい。
シャッターチャンスという意味での撮影自体は比較的容易なのですが、露出的な意味で失敗作
(白飛び ・ 黒つぶれ)を量産する確率が非常に高いです。
露出的な意味での失敗はほとんど発生しないのですが、シャッターチャンス的な意味での失敗作を量産する確率が非常に高いです。

シャッター速度 : 1/80 (ISO1600 / F2.8)
動きの最大値となった瞬間が撮れれば
1/80 でもある程度は止まります
シャッター速度 : 1/125 (ISO3200 / F2.8)
動き幅が大きな手先・足先は
1/125 では完全には止まりません
バレエのように、動きの中で ”決め” の瞬間があるものは、その瞬間が一番美しく、また動きも止めやすいです。
右の写真は、ISO3200 (1Ds2 の最高感度) の開放 F 値ですので、kenkenの所有機材では事実上これ以上のシャッター速度では撮れない状態です。 これ以上は撮影時にマイナス補正して後から修正する、という方法になります。


舞台撮影の注意点

露出は出演者の ”顔” に合わせたいです
演目の内容や表現主旨によって一概には言えないのですが、やはり露出は常に出演者の顔を基準とするようにしたいですね。


撮影のセッティング&撮影モード
最近のデジタル一眼は 『ISOオート』 や 『セイフティシフト』 が設定できる機種が多いですので、例えば

 ・シャッター速度優先AE ”1/500”
 ・ISOオート
 ・セイフティシフト ON

の設定で撮影に臨むとします。
この設定の場合、照度が十分な場合は ISO は 200〜400 程度で収まって、その状態でまずレンズの絞りが変化します。
レンズが開放になっても 1/500 で切れない場合、今度は ISO がオート範囲内の上限いっぱいまで上がります。
そして、ISO が上限いっぱいでも 1/500 で切れない時は、セイフティシフトが働いてシャッター速度が遅くなって行きます。

ですので、基本的には、この設定で撮影すれば常にシャッター速度最速の状態で撮れることになりますので、これでブレてしまうようであれば、もはやそれはカメラの限界という事になります。
ですので、『舞台撮影が始めての人』 や 『舞台撮影に慣れていない人』 は、おそらくこの設定にプラスして

 ・評価測光モード か スポット測光モード
 ・露出補正 : -2/3〜-1 くらい

に設定して、あとはシャッターチャンスだけに集中して撮る、のが、最善の方法だと思います。

ただ、実は舞台撮影の場合、この 『シャッター速度優先の自動露出』 で撮ると、結果として白飛びや黒つぶれを量産してしまう場合があります。

以下がその理由なのですが、ぜひこちらの 『露出について』 にも目を通してみてください。


背景の色 ・ 出演者の衣装 ・ 画面内の構成比率
舞台撮影の場合、『背景の色や明るさ』、『出演者の衣装』、『照明の強さや当り具合』、『出演者の立ち位置による画面内の構成比率』 など、自動露出に影響を与える要素の組み合わせが千差万別に変化してしまいます。 (↓のイラストはそれぞれクリックで大きくなります)

衣装や舞台の構成要素が、トータルとして 18% グレーに近い状態の時は、評価測光でもスポット測光でもほぼイメージ通りの写真が撮れると思います。
ですが、全体的に暗め (黒め) の色調の中で評価測光で撮ると、シャッター速度が遅くなってブレブレの状態になる上に、出演者の顔も真っ白に飛んでしまうことになります。
しかもその傾向は画面内に占める割合によって変化して、広角よりのレンズで広めに撮る場合 (黄色枠のような画面) より、テレ寄りのレンズで狭めに撮る場合 (ピンク枠のような画面) の方がマシになります。
また、暗い背景に白めの衣装で、その上スポットライトが当っているような状態の時は、画面内の構成比率に関わらず評価測光で撮るのはまず不可能です。
こういう場合はスポット測光で撮るのが一番正確なのですが、その代わり周りは完全に真っ黒に潰れてしまいます。

全体的に、おおむねにおいて評価測光よりスポット測光を使う方が良好な仕上がりになる確率が高いような気がするのですが、その一方で、

このように複数の出演者が舞台上に出ていて舞台全体を撮りたいような場合は、スポット測光より評価測光の方が正確な場合が多いです。

あくまでもkenkenの個人的な印象なのですが、正直なところ、舞台撮影で、露出をカメラ任せにして撮影者は構図とチャンスだけに専念できる・・・という撮り方は、存在しないと思います。

▽設定/いずれもシャッター速度が最高速になります ▽特徴
最初の内 ISOオートが使える機種の場合
・シャッター速度優先AE ”1/8000” (1/1250で十分かも)
・ISOオート
・セイフティシフト ON
評価測光 か スポット測光モード
・露出補正 : -2/3〜-1 くらいで固定
構図とシャッターチャンスだけに集中して撮影する
白飛び・黒つぶれが量産されそうな設定なのですが、それでも、慣れない間は結果的に一番成功率が高い方法のような気がします。

舞台全体の撮影に重点を置く場合は評価測光、出演者個人個人に重点を置く場合はスポット測光が向いていると思います。
ISOオートが使えない機種の場合
・絞り優先AE ”開放”
・ISO3200 固定 (使用機種の許容出来る最高感度に設定)
評価測光 か スポット測光モード
・露出補正 : -2/3〜-1 くらいで固定
構図とシャッターチャンスだけに集中して撮影する
少し
慣れた頃
・シャッター速度優先AE ”1/8000” (1/1250で十分かも)
・ISOオート
・セイフティシフト ON
スポット測光モード
衣装や照明の状況でその都度露出補正を行う
”露出の基準をどこに置くか=画面内の何を主題とするか” を優先した撮り方です。
更に
慣れた頃
マニュアルモード
・ISO3200 固定 (使用機種の許容出来る最高感度に設定)
・絞り開放
露出補正も含めて、露出は全てシャッター速度で調整
”被写体を止める” 事を最優先して、尚且つ可能な限り露出の主題を自分で調整するための方法です。
舞台上の平均照度が明るめの場合はISOを下げて画質を上げます。
ただし、エンディングなどで舞台が明るくなった時に ISO 最高感度のまま戻し忘れていると、シャッター速度が追いつかずに白飛び失敗する場合があります(泣)。

機材的なこと

ひと言に舞台撮影と言っても撮影条件は千差万別なのですが、kenkenの経験的には、おおむねにおいて ISO3200 & 開放F値 2.8 のレンズ が最低限必要になります。 これでも、舞台上の照度が低くなる演目では、シャッター速度的に事実上撮影不可能と思えるのが実情です。限界付近での 『1段』 は大きいですね。

舞台撮影を行う場合、ゲネプロ (本番前の通し稽古) の時は自由な位置から撮らせて頂ける場合が多いですので、実はそういう時は 50mm F1.4 で撮っています。
今となっては大した画素数ではありませんが、1Ds2 の場合は 1670 万画素ありますので、ある程度トリミング仕上げをするつもりなら 50mm でもなかり幅広く使えます。
さすがに開放の F1.4 はちょっと使えないのですが、F2.0 でも F2.8 との1段を ISO に換算すれば 6400 に相当することになりますので、倍のシャッター速度で撮れることになります。
そういう意味でも 50mm F1.4 のレンズ があればやはり便利だと思います。






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