■デジカメ入門☆使い方・使いこなし&撮影テクニック教室 >> デジカメ&撮影の基礎を覚えておこう! |
撮影モードとは? |
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●撮影モード(シーンモード)は増える一方です |
フィルム全盛の時代からカメラに馴染んでいる方々にとっては、おそらく撮影モードと言えば 『プログラムAE』 『絞り優先AE』 『シャッター速度優先AE』 の3つ・・・ という感覚ではないでしょうか? 時代がデジカメに移り変わるに連れてさまざまな撮影要素が ”モード” に取り入れられてきて、今では撮影したいシーン(状況) を設定するだけで、『絞り / シャッター速度 / ISO / ホワイトバランス / 色調 ・ 彩度 / 顔認識 / ストロボ発光 / スローシンクロ』 と、この辺りの要素を最適に組合せた撮影ができ上がるようになっています。 シーンには、ポートレート、風景、夜景、スポーツ、花火、室内、新緑・紅葉・・・ 等があり、それを選ぶだけでキレイな写真を簡単に撮れるようになっています。 |
ただ、その一方で、例えば高感度特性が向上するにつれて、暗所撮影に関する新たなシーンが追加されたり、あるいは今までのシーンの仕様が変更されたりする場合も出てきます。 その結果、『夜景モード』 『夜景ポートレートモード』 『夜景スナップモード』 等、メーカーや機種ごとにモードの名称や仕様が異なる場合が出てきて、逆にちょっとややこしい状態にもなっているようです。 例えばキヤノンの PowerShot S90 には 『夜景モード』 と 『夜景スナップモード』 という2つのモードがあるのですが、夜景モードの方は ”低 ISO+低速シャッター+スローシンクロ” が主旨で、夜景スナップモードは ”ストロボ発光+高 ISO+可能な限り高速シャッター” が主旨になっているようです。 他にも、(機種は調べられなかったのですが) メーカーによっては ”夜景モードは低速シャッター” で ”夜景ポートレートはスローシンクロ” 等、特徴や仕様が異なる場合がかなり多いようです。 各メーカーそれぞれに素晴らしい機能だと思うのですが、その一方で、シーンモードの特性や使い方を選び間違えてしまうと、逆に全てが台無しになってしまう場合もあるような気がします。 ぜひ、お使いのデジカメに搭載されている各シーンモードの特徴をキチンと把握して、キレイな写真をたくさん撮るようにしてください。 |
●”シーンモード” を搭載していない機種もあります |
ただ、その一方で、シーンモードでは撮影者自身は細かな設定ができませんので、『新緑モードは色が濃すぎて好みに合わない』 等、使い込むほどに自分とは合わない部分が気になってくることも有りえるかも知れません。 その一方で、プロや上級者向けと言われる高級一眼デジタルの場合は、いまだに 『プログラムAE』 『絞り優先AE』 『シャッター速度優先AE』 だけで、最近になってやっと ”ISO オート” が搭載されたような状態なのですが、つまりここで なぜそれらの機種にはシーンモードが搭載されないのか? という部分に行き着くことになります。 コンパクトデジカメにもそれらシーンモードを持たない機種もあって、例えばリコーというメーカーは、製品全般的に、デジタル的な便利さよりも、ひたすら ”デジカメ本来の基本性能” を追求している印象があり、いわゆる玄人 (マニア) 好みのデジカメを作り続けているようです。 実際、AE モードとデジタルの基本的な部分さえ押さえられれば、上記シーンモードはほぼ全て撮影できるようになります。 それも全て自分好みで。 これら、撮影の基礎部分を覚えて使えるようになることと、増え続けるシーンモードの特徴や違いをキチンと把握して使いこなせるようになることと、労力的にほとんど差がなくなっているような気がkenkenはしています。 もちろん、人それぞれの好みとか、あるいは向き・不向き的な部分もあるかも知れないのですが、デジカメや写真撮影の基礎的な部分を覚えておくことは決してマイナスにはならないと思います。 まずはオートで楽しみながらたくさん写真を撮ってみて、そしてオートに物足りなくなった時は、ぜひ 『簡単キレイ!』 から 『こだわりスゴイ!』 の世界へと、一歩ステップを進めてみてください! (とか偉そうなことを言いつつ、kenkenも進みたいと思っているのですが・・・(泣)) |
●各モードの基本的な違いについて |
それでは、まず、各モード毎に、撮影者は 『何を設定できて何を設定できないのか』 を見てみましょう。 キヤノンの一眼デジの場合は ”クリエイティブ全自動” が搭載されている機種がありますので、そのモードも載せています。 なお、これら、『全自動モード』 『クリエイティブ全自動モード』 『シーンモード』 につきましては、メーカーや機種ごとによって、名称や設定の内容が異なる場合がありますので、詳しくはお使いの機種のマニュアルでご確認ください。 |
撮影要素 | 全自動 モード |
C全自動 モード |
シーン モード |
プログラム モード |
絞り優先 A・Av |
シャッター 速度優先 T・Tv・S |
マニュアル M |
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絞り | 基本 | AUTO | AUTO | AUTO | AUTO | M | AUTO | M |
調整 | × | △ | × | シフト | ○ | ↓ | ○ | |
シャッター 速度 |
基本 | AUTO | AUTO | AUTO | AUTO | AUTO | M | M |
調整 | × | △ | × | シフト | ↑ | ○ | ○ | |
ISO | 基本 | AUTO | AUTO | AUTO | AUTO/M | AUTO/M | AUTO/M | AUTO/M |
調整 | × | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ | |
ストロボ 発光・調光 |
基本 | AUTO | AUTO | AUTO | AUTO/M | M | M | M |
禁止 | × | ○ | ×○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
AF ポイント |
基本 | AUTO | AUTO | AUTO/M | AUTO/M | AUTO/M | AUTO/M | AUTO/M |
調整 | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
露出補正 (明るさ調整) |
× | × | ○ | ○ | ○ | ○ | 絞り・SS で調整 |
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AI サーボ | AUTO | AUTO | AUTO | M | M | M | M | |
色調 彩度 |
基本 | 固定 | M | AUTO | M | M | M | M |
調整 | × | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | |
ホワイト バランス |
基本 | AUTO | AUTO | AUTO | AUTO/M | AUTO/M | AUTO/M | AUTO/M |
調整 | × | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ | |
ボケ味 (絞り&SS) |
× | △ | - | - | - | - | - | |
ご注意! | メーカーや機種によって 名称・設定は様々だと思います |
メーカーや機種を問わず 同じだと思います |
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※AFポイントの選択等、一眼かコンデジかによって変わる要素もあると思います。 ※プログラムモードのシフト(プログラムシフト)の有無も変わるかも知れないです。 |
おそらく、全自動モードで撮影していて、一番最初に物足りなく感じられてくるのが
『AFポイントが指定できない』 という点ではないでしょうか。 AFポイントというのは、”奥行きのある構図の中でどの部分にピントを合わせたいか” という部分に関わってくる要素です。 コンデジの場合は被写界深度が深いので、ある程度ピント位置が外れていてもそれほど大きく目立たないのですが、一眼デジ (特に大口径レンズを使ってあまり明るくない場所で撮影した時) で狙った位置にピントが合っていないと、かなり残念な写真になってしまう場合があります。 例えば |
このような状況で、矢印の方向から撮影してみますと、 |
コンデジの場合は被写界深度が深いので、ある程度ピントが外れていてもそれほど大きな違和感は感じません。この写真も、実際のピントは一番手前の葉っぱに合っています。 |
ところが一眼デジの場合はボケ方が大きいですので、ピントが外れてしまうと撮りたい主体がまったく目立たなくなってしまいます。 この写真では右上の赤い葉にピントが合っているのですが、このように AF オートの場合はその時その時でどこにピントが合うか分かりません。 特にこの写真のように、手前に大きな障害物がある状況では、9割方は手前のどこかにピントが合ってしまいます。 |
このような時は AF ポイントを1点指定にすると、その1点で狙った位置に正確にピントを合わせることができます。 ところが、全自動モードの場合は AF ポイントを指定することができませんので、つまり 『こういう写真は全自動モードでは (基本的には) 撮れない』 ということになります。 |
●プログラムモードの特徴 |
この AFポイントが指定できない という他にも、全自動モードでは出来なくてプログラムモードでは出来ることに ”露出補正” と ”プログラムシフト” があります。 それぞれどんな目的で使うものか、まずは下の例をご覧になってください。 |
露出補正の効果 | ||||
← ← ← |
→ → → |
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標準露出から −1段補正 |
標準露出 | 標準露出から +1段補正 |
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このように、露出補正することで全体的な明るさが変化します。 +−1段の補正で、印象が全く異なってくるのがお分かりいただけると思います。 このように、明るさの違いによる表現効果を狙いたい時に露出補正を使います。 |
プログラムモードでは、普通にシャッターを切るだけでも露出調整されたキレイな写真が撮れます。 それだけでしたら、たぶん全自動モードとほとんど変化のない結果になると思うのですが、それに露出補正とプログラムシフトが使用できるということが、プログラムモードの一番の特徴だとkenkenは思います。 |
たぶん、写真そのものの表現は右の図のような感じになると思うのですが、露出補正で明るさ・暗さの印象を調整できて、プログラムシフトで絞り
(ボケ量・固さ) とシャッター速度 (動き・流れ) の印象を調整できます。 ここでご紹介しました被写体は ”静物” に分類されますので、表現的には 『動き・流れ』 は関係なく、位置的には☆印のあたりに当てはまるものだと思います。 絞り優先モードやシャッター速度優先モードの考え方も、基本的には、このプログラムシフトの先にあるものだとkenkenは思います。 一眼デジをお持ちの方は、ぜひ露出補正やプログラムシフトをお試しいただいて、表現の変化をご確認なさってみてください。 |
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●シーンモードの特徴 |
ではシーンモードの場合はどうでしょうか。 おそらく、位置付け的にはプログラムモードの発展形のような感じだと思うのですが、各シーンに求められる一般的な設定がプリセットされて、色調・彩度 (キヤノン:ピクチャースタイル/ニコン:ピクチャーコントロール) のあたりも自動的に設定されるあたりが特徴と言えそうです。 それぞれ、カメラ作りのプロが研究を重ねて作ったもののはずですので、それぞれのモードの特徴をしっかりと把握して有効に活用すれば、キレイな写真が撮れる確率はかなり高まると思います。 では、具体的にどんな傾向にプリセットされているのかを検証するため、全く同じ条件でそれぞれプログラムモードと比較してみました。 この比較した結果から逆算してみますと、それぞれのプリセットの傾向が推測できると思います。 ※ 下の比較写真は、キヤノンの PowerShot S90 のもので、これらシーンモードの名称やプリセットの傾向は全てキヤノンのものとなっています。 これら記載内容は全てkenkenの個人的な感覚によるもので、また他メーカーのシーンモードでは傾向が異なる場合もあると思いますので、あくまでもご参考程度にご覧になってください。 |
あくまでもkenkenの個人的な印象なのですが、それぞれすごく便利で楽しい・美しいモードと思うのですが、その反面で、使う方の色味的な好みで賛否が分かれる部分もあるような気がします。 実際にご利用される前に、それぞれのモードを何度も試し撮りをされて、クセや特徴を把握しておかれた方がいいと思います。 kenkenもぜひ試してみたいモードがいくつかあるのですが、お好みに合うモードは作品作りの上ですごく便利な素晴らしい機能だと思いますので、ぜひお持ちのデジカメでご研究の上、活用なさってみてください。 |
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