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PLフィルタ(偏光フィルタ)で色調豊かな写真にしましょう☆



PLフィルタを使うと被写体本来の色が写真上で鮮やかに再現されます☆





青空が深くなり、岩肌や木々の色調も鮮やかに再現されます 比較GIF



PLフィルタ(偏光フィルタ)ってどんなフィルタ?

みなさん、プロやカメラが上手なベテランの方々の写真をブログなどで見て、『やっぱり自分の撮った写真とは何かが違う・・・』 と、感じられた事はないでしょうか?
もちろん、プロやベテランカメラマンの方々は皆さん素晴らしい技術をお持ちですので、その高度な技術によって、kenkenなどとは一味違う写真を撮られる事は多々あります。

ですが、屋外撮影の場合の ”写真の色調” とか ”色の再現性” いう点に関しては、PLフィルタ(偏光フィルタ)を使うだけで上手な皆さんの作品に一歩近づける場合があります。

まず、『PL(偏光)フィルタ』 とはどんな働きをするフィルタなのか? を、ひと言で説明しますと、『被写体表面の ”光の反射” を取り除くことが出来るフィルタ』 と言えると思います。

まず以下の写真をご覧ください。それぞれ左がPLフィルタ無し、右が有りの状態です。

PLフィルタ無し PLフィルタ有り
ウインドウの強い反射が取り除かれて、結果としてボディ本来の色がはっきり出ています。

PLフィルタ無し PLフィルタ有り
岩の表面や水面の反射が取り除かれて、岩や川底の本来の色がはっきりしています。

実は恥ずかしながら、kenkenはずっと、PLフィルタとは 『とにかく被写体の色調を鮮やかに高めるフィルタ』 と勘違いしていたのですが、その認識は間違いで、上の写真のように ”表面の反射が取り除かれて、その結果として被写体本来の色がハッキリする” というのが正確な表現のような気がします。

じゃ、冒頭の写真では特に反射するモノなど写ってないのに、どうして空の色が深くなったり木々や岩肌の色味が変わるの? といいますと、実はガラスや水ほどではないですが木々や岩肌も光を反射していて、何もないように見える空(大気中)でも水蒸気が光を反射しているからです。

以下、あまり上手に撮れていないのですがPLフィルタを使った作例をご覧ください。

PLフィルタ無し PLフィルタ有り
葉の表面反射が取り除かれて、葉本来の緑色が鮮やかに写し出されました。

PLフィルタ無し PLフィルタ有り
こちらも枯葉の反射光が取り除かれています。
反射による明暗のギラギラ感が抑えられて、全体にしっとりとした柔らかな印象になりました。

上の2枚はかなり被写体に近い ”寄り” の写真で、PLフィルタの効果もはっきりと分かりやすいと思います。
これが少し引いた感じになりますと、以下のようになります。

PLフィルタ無し PLフィルタ有り 比較GIF
木の右側辺りと、背景左上の光が当っている辺りの反射が抑えられています。
背景左下と右部の、もともと陰になっているあたりはほぼ全く変化がありません。

PLフィルタ無し PLフィルタ有り 比較GIF
ほぼ順光位置からの撮影です。
PLフィルタは ”真順光”・”真逆光” の位置ではあまり効果が出ないそうなのですが、それでも竹林部分の
葉の反射が少し抑えられて、色調がわずかに鮮やかに写し出されています。

なお、PLフィルタは、フィルタ枠を回転させる事で効果の度合いを調整できるようになっています。

フィルタ効果は、常に最大限に発揮させるのが最善とは限りませんので、表現したい雰囲気とかその場その時の状況によって微妙に調整して、ご自身の表現にとって最適な部分を見つけ出してください。



PLフィルタを使用する場合の注意点

あと、PLフィルタの二次的な効果として、『結果的にダイナミックレンジが広がったのと同様の効果』 が、現れる ”場合も” あります。


PLフィルタ無し PLフィルタ有り
これらの写真では、画面左上・右下の陰の部分が、フィルタ有りの方が明るく写っている(日の当っている部分と陰の部分の明暗差が小さくなっている)のがお分かり頂けると思います。

”光の反射” というのは思いのほか明るく影響するようで、カメラのAEがその反射の明るさを基準に適正露出を判断すると、結果として陰になっている部分はより暗く沈んでしまいます。
上の写真では陽の当っている部分の葉の細かな反射が取り除かれて、その分 『陽の当っている部分と陰の部分の明暗差』 が下がったために、写し出された写真の明暗差も小さくなったのだと思われます。

実はここに、PLフィルタを使う際の1つの注意点があるのですが、例えば以下の写真をご覧下さい。

PLフィルタ無し PLフィルタ有り
F4.0 : ISO1001/40 F4.0 : ISO4001/30

これらの写真は、ISOで2段、シャッター速度で 1/3 段で、合計2.3段も露出が変わっています。

PLフィルタは、効果を最小とした場合でも1段くらいは光量が下がるのですが、上の写真のように 『画面のほぼ全体に反射光が入っている』 ような場合は、その反射光を取り除くことで結果的に2段以上も光量が下がってしまう事になります。
PLを最大に効かせても十分なシャッター速度が得られる場合は良いのですが、想像する以上にシャッター速度が遅くなる場合が多いですので、手ブレには細心のご注意を払ってください。



なお、PLフィルタの効き方には、基本的に以下のような特徴があるようです。

●1:真順光・真逆光となる場合はほとんど効果は出ない。
●2:太陽(光源)と90度の位置に近づくほどグラデーション的に効果が高くなる。
   ※特に広角で空を入れた構図の場合は、”効き具合による空の濃淡” が出る場合があります。
●3:ガラスや水など、もともと光を透過させる物に反射した光には効果が高いけれど、金属などもともと
   光を通さない物に反射した光には効果が弱い(効果がない)。
●4:PLフィルターには通常のPL(偏光フィルター)とC-PL(円偏光フィルター)があって、基本的にオート
   フォーカスデジタルカメラの場合はC-PLを使った方が良いそうです。
   ※AF機やデジタルカメラでは、ハーフミラーやローパスフィルタで何らかの障害が出る場合があるそう
     なのですが、ただkenkenの使う EOS 1Ds2 では通常のPLでも特に問題は出ていないです。

このように、PLフィルタには注意するべき部分も色々あるのですが、でも特に風景写真など ”反射光に左右されない被写体本来の色調” を表現したい場合は必須とも言えます。

写真の印象を1つ打破したい場合は、レンズやカメラを新調するよりPLフィルタを試してみる方が効果的な場合もあり得ますので、まだPLフィルタを試されていない場合はイチオシのオススメです。
品質の良いPLフィルタはフィルタの色味自体はほぼナチュラルグレーですので、風景メインで撮影を楽しんでおられる方々にはプロテクトフィルタ代わりに常時装着している方もたくさんおられるようです。

ぜひしっかりとPLフィルタの特徴をつかんで、素晴らしい作品をたくさん撮って欲しいと思います。



なお、kenkenオススメのPLフィルターは 『ケンコー Pro1D C-PL フィルター』 です。
PLフィルタは枠が厚くなってしまうので広角ではケラれてしまう場合があるのですが、このフィルタは枠が薄いので28mm相当までは大丈夫です。
あとkenkenは試していないのですが、ケンコーには更に高品位な 『Zeta C-PL フィルター』 という製品もあるようです。

※Amazon で販売されていますので、よろしければご覧ください
ケンコー Pro1D C-PL フィルター
ケンコー Zeta C-PL フィルター







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