■デジカメ入門☆使い方・使いこなし&撮影テクニック教室 >> デジカメ&撮影の基礎を覚えておこう!  




ボケ味(ボケの印象)を決める要素



ボケの印象を決める要素は、絞り(被写界深度)の他にもいろいろあります





ボケの大きさは絞りで決まります

ボケの大きさ自体は、基本的に、絞りの値でほとんど決まります。
この、絞りの値によってピントの合う奥行きの範囲を 『被写界深度』 と言います。

絞りの値が小さくなるほど、被写界深度が浅くなり、ピントの合う範囲は狭く (ボケが大きく) なります。
絞りの値が大きくなるほど、被写界深度が深くなり、ピントの合う範囲は広く (ボケが小さく) なります。

絞り値 (被写界深度) の変化によるボケ方の変化
F1.8 F4.0 F8.0
F11 F22
画角 : 同じ
被写体の位置 : 同じ
被写体までの距離 : 同じ

- Tips! コンデジの場合はご注意! -
被写界深度は、絞り羽の動作による開口径の変化によって変わります。
こちらの 『絞りとシャッター速度』 でも少し触れましたが、コンデジの場合は、一部高級機種を除いて、ほとんどの場合は ND フィルターという光の量を減らすフィルターを被せることで光の量を調整していますので、この場合は絞りの開口径そのものは全く変化しません。
ですので、ND フィルター式のコンデジの場合は被写界深度は全く変化しませんのでご注意ください。



『ボケが大きい = ボケを活かす』 とは限りません

写真に興味をもってあちこち楽しく見て回っていますと、”ボケを活かす” という表現をよく目にされることと思います。
ボケの大きさそのものは、絞り値が小さい (被写界深度が浅い) ほど大きくなるのですが、でもボケが大きい=ボケを活かす、という意味かというと、一概にそうとは言えない部分もあります。

例えば、『露出について』 のページでご紹介していました下の写真をご覧いただきたいのですが、

F1.4 F2.0 F4.0 F8.0

これらの写真も、絞り (F値) が小さいほどボケ方が大きくなっていることは間違いないのですが・・・ でも、ご覧になってみていかがでしょうか?
もちろん ”どれが正解” という答えはないと思うのですが、でも F1.4 や 2.0 だと背景がボケすぎていて、これがどんな場所で撮ったのかがほとんど分からなくなってしまっています。 もちろん、分からなくするためにあえてボカす場合もあるでしょうし、その場合はそれで良いと思うのですが、でも ”ロケーション” という意味で考えますと、背景が分からないほどボケてしまってはロケーションの意味がなくなってしまいます。
かといって F8.0 まで絞ってしまいますと、今度はちょっと背景がはっきりしすぎて ”うるさく” なっているようにも思えてしまいます。
もちろんこれも、背景の様子とか、被写体と背景の色調の差とか、色んな要素や目的で変わってくると思うのですが、このような場合でしたら、kenken的には F4.0 あたりが一番 『ボケを活かせている』 ような感じがしています。



被写体の位置でボケ方の印象は変わります

ひとことにボケと言いましても、被写体の手前側をボカす前ボケと、奥をボカす後ろボケがあります。
そして、焦点距離や F 値が同じ場合でも、被写体がどの位置にあるかによって、前ボケと後ろボケの印象が変わってきます。
下の写真は、焦点距離、F 値、カメラの位置、は全て同じで、被写体の位置だけが変わっています。

絞りは全て F1.8 です
前景に近い 真ん中くらい 背景に近い
焦点距離 : 同じ(50mm)
手前 ← ← ← 被写体の位置 → → → 奥側
被写体に近い ← ← ← 被写体までの距離 → → → 被写体に遠い

いかがでしょうか? 被写体の位置が変わるだけで、全体的な印象もかなり変化することがお分かりいただけると思います。
これも、いろんな要素によって ”どれが正解” ということではないと思うのですが、前後の様子や表現意図によって使い分けると、印象的な作品になる確率が高まると思います。



レンズの焦点距離でボケ方の印象が変わります

下はあまり上手に撮れていないのですが、レンズの焦点距離を伸ばすにつれてカメラも被写体から遠ざけて、結果的に画面の中の被写体の大きさを同じに撮ってみよう・・・ と、してみたものです。
F値と被写体の位置は同じです。

絞りは全て F2.8 です
24mm 35mm 50mm 70mm
広角寄り ← ← ← 焦点距離 → → → 望遠寄り
被写体の位置 : 同じ
被写体に近い ← ← ← 被写体までの距離 → → → 被写体に遠い

焦点距離が長くなるほど、奥に並んだトランプが大きく写っているのがお分かり頂けると思います。
このように、画面内の被写体の大きさを同じに撮りたい(撮れてないのですが)場合、被写体から離れて焦点距離の長いレンズを使うほど、比率的に前後の景色が大きく写るようになります。
これを ”圧縮効果” といいまして、圧縮効果が大きくなる(焦点距離の長いレンズを使う)ほど、前後の景色のボケ方も大きくなります。



被写体との距離でボケ方の印象が変わります

最後は、ごく単純に、被写体に近付いたり遠ざかったりすることによる、ボケの印象の変化です。
F値、焦点距離、被写体の位置は同じです。

絞りは全て F1.8 です
焦点距離 : 同じ(50mm)
被写体の位置 : 同じ
被写体に遠い ← ← ← 被写体までの距離 → → → 被写体に近い

先ほどの圧縮効果とよく似た印象なのですが、こちらの場合は画面内の全ての要素の大さが変化しています。
ほとんどのレンズでは、被写体に近付くことによって前後のボケ方が大きくなります。


このように、ひとことにボケと言いましても、その表現の仕方や組合せはいろいろあります。
そして、ボケは大きければそれで良いというものでもありませんので、ぜひ、表現や条件によって色々試してみてください。


●参考ブログ記事:コンデジ(PowerShot S90)のボケ味について






デジカメ使いこなし教室!